第12談 儚い人生

第12談 儚い人生 2021年(令和3年) 1月30日(土)

今夜の「坊主さんの おせっ会」に男女6人参加中、Y さんが知人から聞いたお話しですが、〔仮名 A 君〕がコロナ禍の為に週一の関東地方に帰宅も出来なくなり、最愛の妻子に再会もままならず、人生の儚さを昨今 感じていると話されたのです。

拙僧が想うに、A 君は昨年からの仕事上の立場と環境の変化、及び一年にも亘る流り病にアタフタする現状に、共に遣る瀬無さと虚しさを覚え、どうもならない ご自分の 気持ちと苛立ちが重なり、「儚い人生観」を感じ取ったのかなーと?

そこで、僕は「ハカナイ」とは漢字で『イ (にんべん)』に『夢』と書きます。
言い換えれば、これは『人の夢』であって【夢を抱き見る】事から結果として「儚い」と言う言葉へと通じるのでは?と、語り始めました。

先ず、 睡眠中に夢物語りなど見るような、夢の中で登場人物と話したり・相手の話を聞いたり・怖い者に追いかけられたり、様々な場面がスクリーンに映写されているように、目覚めても尚、脳裏に残像が残っている「夢」や現実になる「正夢」もあります。

また「夢」の中でも ご自分の未来というか、「世に出て偉業を成し遂げたるでー!」と大きな夢を見て、己の人生に希望と目標を持ち続け、荒波の航海に立ち向かい船出する人などおります。

逆に、この先々どうせ良い事なんか無いだろうと夢と希望を持てず、己の将来に悲観的で不安に駆られている方や、その他にも色々な考えの人もいるでしょう。

僕自身は普段からマイナス思考ではなく、「何かあっても、何とかなるさ」と意外と能天気で、何時でもプラス思考の持ち主です。

 世の中に生を受けた以上は、儚い人生と思い、ただ生き永らえ 化石と化すよりは、少しでも明日に希望を持ち続け、老いても安楽に生きられたら「御の字」でしようね。

つまり、五体満足で生かされているだけで、充分に有り難いんだと自覚し、両親や先祖に感謝しなければ ならないと思いませんか?

人間として生まれ出づる事、それは一億以上という成熟した雄の生殖細胞の中から、たった一粒の精子が、雌の卵子に受精され結合した 個体に命が宿る。
そして、十月十日 母の胎内にて育ち、この娑婆世界の光の中に出生する事であり、本当に難儀で 稀な事なのですヨネ!

そう想うと、個々に 此の世に生命を授かりし者は、何かしらの何事かを成し遂げなければ 成らない、与えられた使命が ある筈なんです。  その役割を運良く見つけられる人や、未だ分からずじまいで迷い続 けている方も、いると思うんですよ。

だから、人は人を愛し、生涯の番 (ツガ) いとなる伴侶と巡り合い、各々の役目を全うせず果たせぬ人は、次世代の我が子へ託し、バトンタッチする訳なんですよね。

お話がズレて別な方へ飛びましたが、此の世を儚み死を臨んでいる人には、僕は『儚い』を【墓無い】と置き換えて説き、まだ貴方が入る お墓が無い、 お墓の準備が整って無いから、あれこれと思い悩み死に急ぐ必要は無いと訴えます。

己 自信に負け その場から逃げ越しで無く、死ぬ事ばかり考えずに、生きてさえ いれば必ず良いことも巡り来るから、そう人生捨てたもんじゃないって!
だからこそ、生きて生きて生き抜く事の方が、死を選ぶより余程 価値があると、僕は思うんですよね。

名も知れず 野に咲く花も、その一時の命を惜しみなく可憐に咲き誇り散る。
また、蜉蝣 (カゲロウ) も しかり、サナギから成虫になると卵を産んで間もなく死する。 共に、この一瞬の短い命を燃やし尽きるのです。

この事柄を見ても解るように、人の命も短く『儚い』ものだと、例えて言えますヨネ。
A さんのみ成らず参加者の方々にも、一人一人の命の尊さや其の重みを、噛み締めて欲しいと思います。

このような、拙僧の拙 (ツタナ) いお話しに、皆様の貴重な時間を割いて お聞き頂きました事に、心から感謝申し上げます。

ふと見上げれば、時計の針は もう23時55分、時間の経過に驚き、数分で日が変わろうとしている!  朝が早いので3~4 時間だけでも睡眠を取らなきゃと・・・‼
この辺で終了します、では皆様も お休みなさいませ?

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蜉蝣